コーヒーの基礎知識

コーヒーの生豆について

はじめに

まずはじめにコーヒーについて知っていただきたい事があります。
それは、お米やお茶、果物と同じようにコーヒーも「農産物」であるということです。これは当たり前の事なのですが、あまり認識されていないのが実状です。




お米で例をあげると同じお米でも作られた場所、銘柄、生産者等でまったく味が異なるように、コーヒーも産地が同じでも地域、品種、生産者等で複雑に味が異なります。
また、その年の気象条件も密接に関係します。
またまたお米で例えると、「今年は天候に恵まれたから豊作だった」とか
「今年は、雨が多く収穫量がすくなかった」等、少なからず耳にした事があると思います。
コーヒーも同じでその年の気象現象が収穫量や香味に大変影響します。
つまりコーヒーは工業製品ではなく、農産物なのでいつも同じ香味という事はありえないのです。


それともう一つ、コーヒーは農産物である以上、一番おいしい旬の時期があります。お米もお茶も、新米や新茶がおいしいようにコーヒーも入荷したての新豆(ニュークロップ)が一番おいしく価値があるという事なのです。



以上これらの事を理解していただくと普段何気に飲んでいるコーヒーも
少し見方が変わり、またコーヒー豆を選ぶ時も、選び方が変わって、楽しみが増えてくると思います。


コーヒー豆の品種

コーヒーの品種には大きく分けて3つあります。
「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」です。
これらをコーヒーの3大原種と言います。
また、アラビカ種の中にも色々な品種がありますので大まかに示した物が以下となります。



コーヒー豆の品種

■アラビカ種

エチオピア原産。コーヒー生産圏全域で栽培され、全生産量の70〜80%を占めています。 3大原種の中では、最も味・香りに優れていて、バランスのとれたコーヒーです。 しかし、気候や病虫害の影響を受けやすく、栽培が難しい品種です。

ティピカ

アラビカ種の中で最も原種に近い品種。優れた香りと酸味を持ちクリーンな反面、 サビ病に弱く、多くのシェードツリー(日陰樹)を必要とし、生産性が低い品種です。

ブルボン

ティピカの突然変異でイエメンからブルボン島(現レユニオン島)に移植されたのが起源とされます。ブラジルコーヒーの原型。 甘味と濃縮感があります。

ケント

インドの品種。生産性が高く、病害、特にサビ病に強いです。 ティピカと他の品種との雑種といわれています。

マラゴジペ

ブラジルで発見されたティピカの突然変異。スクリーン19以上の大粒で大味な豆です。

ムンドノーボ

ブラジルで発見されたブルボンとスマトラの自然交配種。 病虫害に強く、生産性も高い豆です。ブラジルを代表する品種の一つ。

カツーラ

ムンド・ノーボとカツーラの交配種。生産性が高く、病虫害に強いです。

アマレロ

ブルボンの突然変異で、黄色の実をつける事から、アマレロと呼ばれます。 別名をイエローブルボンと呼ばれています。




■ロブスタ種

アフリカのコンゴが原産と言われ、気候条件や病虫害に強く、低地栽培が可能な品種。
成長も早く、生産性も高いですが、焦げた麦のような香りがし、泥臭く苦味があります。
しかし、抽出すると濃度があり、カフェインも多くかつ安価な為、工場用コーヒー(インスタント、リキッドコーヒー、缶コーヒー等)には欠かせない豆になっています。


■リベリカ種

西アフリカのリベリア原産。生産量は全体の1%未満にすぎず、低地栽培が可能な品種。 ほどんど市場に出回る事のない珍しい豆です。


コーヒー豆の栽培と収穫

栽培について

コーヒー豆は、主に赤道をはさんだ北緯25℃と南緯25℃の間の熱帯地方で栽培されています。
この地帯は、コーヒー栽培に適している事から「コーヒーベルト」と呼ばれています。
栽培に適した年間平均気温は20℃前後です。
アラビカは、高温多湿の気候が苦手で、また霧や低温にも弱く、
その多くは、熱帯・亜熱帯地域の標高1000m〜2000mの高地で栽培されています。
一方ロブスタは、病害にも強く標高1000m以下での栽培も可能です。
またどちらも雨量は、年間1000mm〜2000mm必要で、足りない土地では、灌漑設備を要します。
火山灰土護で弱酸性、排水性が良く腐食含量が高い土壌が栽培には適しています。



コーヒーは強い直射日光に弱い植物で、多くのコーヒー生産地では日照条件をより良好に保つ為、シェードツリーという背の高い樹木の下でコーヒーを栽培します。
シェードツリーには豆科の植物が植えられる事が多く、その落葉はコーヒーの肥料として窒素を土壌にもたらしてくれます。

収穫について



コーヒーの収穫期および収穫方法は、産地によって異なります。
一般には年1〜2回、乾期に収穫される場合が多いです。
収穫方法は大きく分けて手摘みと機械や人力で地面に落して集める方法の二つがあります。

【主な産地の収穫月】

ブラジル 5月〜8月
コロンビア 10月〜2月 (メインクロップ)
4月〜5月(フライクロップ) 年2回
ガテマラ 10月〜3月
エチオピア 8月〜12月
タンザニア 10月〜12月
ケニア 9月〜12月 (メインクロップ)
5月〜7月(フライクロップ) 年2回
インドネシア 11月〜1月
パプアニューギニア 4月〜9月
コスタリカ 11月〜2月
エルサルバドル 11月〜2月
東ティモール 4月〜8月
ハワイ 10月〜1月
ジャマイカ 8月〜9月


コーヒー豆の精製

コーヒーの実(チェリー)は収穫してからそのまま放置しておくと短時間で腐敗します。
外皮、果肉等を除去し、種子(コーヒー)を取り出す作業を精製といいます。
精製する事により、長期の保存や流通に耐えられるようになります。
この精製方法には、ナチュラル(非水洗式) ウォッシュト(水洗式)、それらの中間的なセミウォッシュト、パルプドナチュラル等があり、どの精製方法を施したかで、コーヒーの香味に大きく影響してくる大切な作業です。

◆ ナチュラル(非水洗式)

アンウォッシュトともいわれるこの方法は収穫後、チェリーを天日乾燥し、そのまま果肉と種子(パーチメント)を同時に脱穀する方法ですが、未熟豆や異物の混入が多いのが難点です。
しかし、完熟したチェリーから作られたコーヒーは、やわらかく複雑な香味と十分なコクがあります。

◆ ウォッシュト(水洗式)

収穫したチェリーを水槽に入れ、水に浮く未熟豆やゴミ等の異物を取り除く事から始めます。(小石や砂は、水に沈ませて除去)
その後、パルパー(果肉除去機)にかけて果肉を取り除き、パーチメントに付着しているミューシレージ(粘液)を発酵槽で10〜40時間程かけて分解し、除去します。
最後に、水洗してから天日やドライヤーで乾燥させます。
手抜きのない、しっかりした作業をすると綺麗で澄んだコーヒーになりますが、作業工程が複雑で、不備があると香味にダメージがでたりします。


コーヒー豆の精製

◆ セミウォッシュト

収穫したチェリーを果肉とともに、パーチメントに付着しているミュージレージも機械で取り除く方法です。 発酵の工程から短縮されるので効率的で、発酵中に発生しやすい劣化も防げます。
水の使用量が比較的少ないので、排水で環境を汚染しにくいという利点もあります。
香味はウォッシュトに近くなります。

◆ パルプドナチュラル

パルパーで果肉を脱穀してから、ミューシレージを除去しないまま、パーチメントを天日で乾燥させます。
ナチュラル精製に比べると、未熟豆の混入が減るので異臭が出にくくなります。

コーヒー豆の等級(規格)とグレード

◆ 等級(格付)

コーヒーは国際的に取引されている商品です。
その為、各生産国はコーヒーの輸出にあたりさまざまな等級を設けています。 等級の格付け方法は、標高、スクリーンサイズ、欠点数等があります。 しかしこうした格付けもほとんどが外見上の物であり、格付けの高低が香味の良し悪しに必ずしもあてはまる物ではありません。


コーヒの生豆

◆ スクリーンサイズ(粒の大きさ)を基準とした格付け

粒の大きさをふるいにかけて分類し、格付けする。粒が大きい方が、評価が高い。

主な生産国
コロンビア ・・・ スプレモ、エキセルソ
ブラジル ・・・ S13〜S20
タンザニア/ケニア ・・・ AA,A,AB
ハワイ ・・・ エクストラ・ファンシー, ファンシー, No1

◆ 標高による格付け

標高の高さによって格付けされ、より標高の高い産地の豆が高級となります。

主な生産国
ガテマラ ・ コスタリカ ・・・ SHB (Strictly Hard Bean) , HB (Hard Bean)
メキシコ ・ ボンジュラス ・・・ SHG (Strictly.High.Grown) , HG (High.Grown)

◆ 欠点数による格付け

生豆300g中に含まれる黒豆、未熟豆、貝殻豆、欠け豆等コーヒーの育成もしくは、精製上問題のある豆や小石や小枝等の異物を数え、少ない方が評価が高い方法。

主な生産国
ブラジル ・・・ No2 〜 No8
インドネシア ・・・ G1 〜 G5
エチオピア ・・・ G1 〜 G5

◆ 味による格付け

カッピングによる香味の評価で、格付けする方法。外見上の評価と併用されています。

主な生産国
ブラジル ・・・ Strictly soft, soft

◆ グレード

コーヒー豆は、農産物がある以上同じ生産国の中でもグレードのランクがあります。 それぞれの国で様々な評価方法により格付けされたコーヒーは、ニューヨークでは相場で取引されています。 これがコモディティコーヒー(スタンダードコーヒー)です。
このコモディティコーヒーより、なんらかの付加価格がついたコーヒーがプレミアムコーヒーです。 例えば、生産地域、品種、精製、生産者等が明確なコーヒー。 当然ニューヨーク相場より高くなります。
しかしSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)の定めるカッピングフォームで、80点に達しなかったコーヒーです。

そしてこのプレミアムコーヒーと同じように付加価格がついて、なおかつSCAAカッピングフォームで80点以上のコーヒーがスペシャルティコーヒーです。
全世界流通のトップ 3% 〜 5% のコーヒーで、特別に香味がすばらしく、個性的なコーヒーという事です。
現在このスペシャルティコーヒーの定義は、「栽培からカップに至るまでの全ての工程でベストが尽くされたコーヒー」と認識されています。

グレードの図

コーヒーの焙煎 (ローストについて)

コーヒーは緑の生豆の状態では、味も香りもありません。 焙煎機(ロースター)で加熱する事で初めてコーヒー特有の香りや味が出てくるのです。
この作業を焙煎(ロースト)といいます。

この作業に使用する焙煎機にも大きくわけて3種類ありそれぞれ長所、短所があります。


コーヒーの焙煎

◆ 直火式

火が直接豆にあたる構造で、炒りムラが生じたり、味のぶれが出やすくローストは少し難しいです。しかしうまくローストすると生豆の個性をきちんと表現できます。
味の傾向は、直接的な味で、メリハリがあり、力強さを感じます。 ちなみに当店はこのタイプのロースターです。

◆ 半熱風式

鉄板の上からあぶるようなもので、豆もよく膨らみ炒り上がりもきれいで安定してローストできます。 初心者にもムラなくローストできますが、力強い個性は減少します。味の傾向は優しくまろやかな味わいです。

◆ 熱風式

高カロリーの熱風を送り込み、循環させる構造で、短時間ローストが可能です。 基本的には大量のローストに用いられ、量産用です。排気温度が高く、すぐに豆が膨張し、味が抜けやすい傾向にあります。



コーヒー豆

また、コーヒーの香味は、産地や品種でももちろん異なりますが、焙煎の度合でも大きく変化します。
焙煎時間が短いか長いかで、短いと浅煎り逆に長いと深煎りということです。 香味の違いを大まかにいうと、浅煎りは酸味が強く、焙煎度合いが深くなると酸味が弱くなり、コクや苦味が出てきます。

その焙煎度合いの表し方では、以下の 8タイプがよく用いられます。 コーヒー豆のご購入時の参考にしてください。

浅煎り

ライト シナモン
もっとも浅い煎り方。コクや香りは弱く、あまり飲まれていない。 酸味が強く残り、ライト同様あまり飲まれていない。

中煎り

ミディアム ハイ
中煎りになり、酸味に加えてほのかな苦味が出て口当たりが良くなる。 日本で最もポピュラーなロースト酸味が抑えられ苦味と甘みのバランスが良い。

中深煎り

シティ フルシティ
ハイとともに人気のあるロースト。酸味も残るが、よりコクやが感じられる。 やや深煎りで、しっかりしたコク苦味が感じられる。

深煎り

フレンチ イタリアン
苦味が強くなり味の存在感が増す。 最も深煎りで、苦味が強く刺激的で舌に残る。


焙煎度合いの表し方

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